漢方薬は、植物、動物、鉱物などの生薬を組み合わせて作られる治療薬です。
さまざまな症状を改善するために、生薬をどのように組み合わせて服用すれば効果的か
漢方医学の理論に基づいてまとめられたものが漢方薬で、医薬品として認められています。
また、漢方薬では含まれる生薬の数が少ないものほど効き目がシャープになります。
生薬の数が少ない処方は、的が小さいので処方の選択が適切であれば驚くほど良く効きます。
しかし、少しその的が外れると効きません。
一方、含まれる生薬の数の多い漢方薬の場合、効き目は緩くなります。
しかし的が大きいので、ピッタリ合わなくても「少し良くなった」と感じます。
たくさんの生薬を混ぜて服用した方が、より良く効きそうに思われがちですが、
実際には、なるべくいろいろな生薬を混ぜずに使った方が鋭い効き目となるのです。
例えば、『五苓散(ごれいさん)』は「猪苓」、「桂枝」、「茯苓」、「沢瀉」と「朮」の
5種類の生薬で構成されていますが、その中の「沢瀉」と「朮」の2種類だけで成り立っている
『沢瀉湯(たくしゃとう)』のほうが、ピッタリ合えば鋭い(劇的な)効き目となります。
ただし、副作用については含まれる生薬の数が多いと、その生薬同士が副作用の発生状況となるのを
打ち消し合うため、生薬の数が多く含まれる方が副作用は生じにくくなります。
次回は「血液の循環」についてお話します。